仮想デスクトップのシステム構築を主力事業とし、セキュリティ関連・働き方改革関連・災害対策関連など多くのITテーマに乗る可能性が高い【3565】アセンテックに注目しています。
2017年5月10日終値:6730円
企業紹介
まずは企業紹介の映像を見ていただいた方が理解がしやすいと思いますのでこちらをご覧ください。
ポイント
ポイントとしては以下の4点が挙げられます
①仮想デスクトップ市場はまだ大手企業に採用が進んでいるのみで、市場の拡大は今後も見込めること。
②情報漏えいや不正送金などセキュリティ向上、働き方改革、災害対策など多くのニーズに仮想デスクトップ構築が応えられること。またコストダウンも図れること。
③市場拡大と同時に更新需要も発生、受注が足元で大幅に拡大し上方修正も視野に入っていること。
④ベンチャーキャピタルの市場内売却も完了し、需給面でも問題がないこと。
以下、細かく解説をしていきます。
①仮想デスクトップ市場の拡大、アセンテックの強み
仮想デスクトップとは企業内の個々のPCにデータを置かないことは勿論、PCのデスクトップ環境をサーバー上で稼働させる仕組みです。PCそのものをサーバーに置いてしまい、モニタ・キーボード・マウスに最小限のCPU・メモリとネット環境があれば、どこでも企業のPCの作業環境が構築できます。
同社は仮想デスクトップに必要なソフトウェア、サーバー、また専用の端末、保守・運用、全てを一気通貫で提供できる、国内でも数少ない企業です。
仮想デスクトップ用ソフトウェアで最もシェアの高いCitrix(シトリックス)の日本国内でわずか3社しかない正規一次代理店(もう2社は日商エレクトロニクス、アクシオ)です。
アセンテックは仮想デスクトップ環境の構築に強みがあり、二次代理店としてはNECやNTTデータ、IBMなども挙げられ、末端顧客に仮想デスクトップの構築の必要性があれば、アセンテックがシステムを提供するといった形で同社の収益があがります。
仮想デスクトップの市場規模について明確な数字はありませんが、同社の推計で国内企業のPCの2割に満たない程度の普及率にとどまり、今後本格的に普及が加速する可能性があるものと考えられます。そのうち同社のシェアは2割程度としており、同社の強みが発揮される場が近い将来訪れるものと予想します。
②仮想デスクトップ市場拡大の背景
仮想デスクトップが企業のIT環境にますます浸透する理由として挙げられるのは、大きく3点あります。
1つはセキュリティの強化です。サーバー上にPCをまるごと置くような環境であるため、データの持ち出しはできません。また仮想デスクトップに接続するPCが仮にウイルスに汚染されていたとしても、仮想デスクトップ上は全く関係なく操作が可能です。不正送金や情報漏えいを低減できる施策として非常に有効であると言えます。
2つめは災害対策です。データをサーバー上にすべて置き、更に別のサーバーでバックアップを行うため、震災時にも復旧が容易となります。そしてデスクトップ環境そのものもサーバー上に置くため、有事の際どこでも効率的な作業が実現できます。例えば、インフルエンザなどパンデミックが起こり、外出が不可能な場合でも自宅で社内と同じ作業環境が構築できるなどメリットは非常に多いと言えます。
3つめは働き方改革です。労働市場がひっ迫している昨今では、在宅勤務や勤務時間のフレキシブル化が叫ばれていますが、先述の通り場所を選ばずに作業ができるという仮想デスクトップ環境が最も重要となってきます。この点、PCがウインドウズXPなど古いPCであったとしても、仮想デスクトップ上はサーバー上のOSで動作するために問題なく動作するなど、新たな端末を必要とせずに従業員の自宅PCを利用できるといったコストメリットも大きいと言えます。
以上のように、企業が仮想デスクトップ構築へと設備投資を行う環境・必然性も整いつつあり、今後アセンテックの活躍の場が大きく広がるものと考えています。
③好調な足元の受注状況
前2017年1月期の第3四半期までの受注高は26億円余りでしたが、第4四半期で13億円の受注を獲得し通期39億円まで膨らみました。前年同期比で166%です。
内容としては仮想デスクトップ構築が大企業を中心に広がりを見せたのが5年前で、足元で更新需要も取り込んでいるようで、それが受注の大幅増に繋がっています。
今期(2018年1月期)期初の受注残高は7億円強で、上期の会社側の売上高見通しを16億円は控え目にも映ります。
大企業の仮想デスクトップの更新需要に加え、更なる普及も視野に入ることで、業績の上方修正も視野に入ってくるものと考えています。
長期的には、Citrixなどの海外のソフトウェアを販売していたこれまでから自社のオリジナル製品へと切り替えが進みます。これに伴って利益率が大幅に上昇する期待も合わせて持つことが可能です。
昨年市場に投入した「リモートPCアレイ」や「レサリオリンクス」は他社へのOEM供給も含めて販売を拡大させるとしており、売上高の拡大と共に利益率上昇が同時に期待できると考えています。
④需給面の懸念は後退
需給面も現状では問題はないものと考えています。創業者や取締役には90日間のロックアップ、またベンチャーキャピタルも上場後初値形成日に持ち株はわずか35000株となっており、特に警戒する面はないものと見られます。
人手不足解消やセキュリティ強化など、仮想デスクトップのニーズが高まる環境が整う中で、同社の飛躍に期待して参りたいと思います。