AI?ビッグデータ?それを凌駕する【6171】土木管理総合試験所の魅力とは?

【6171】土木管理総合試験所について、その魅力をわかりやすく解説します。

このところ土木管理総合試験所が大幅高となっています。

かぶきくんでは6月29日に1032円でTwitterで注目をしました。

その後上場来高値を更新し、2128円の上場来高値まで、ほんの4日で2倍以上になりました

何度かTwitterでは細切れで同社の魅力について書いていましたが、今回はそのまとめを書かせていただきます。

土木管理総合試験所、急騰のきっかけは?

きっかけは6月22日同社が発表した以下のプレスリリースです。

『道路・軌道の路面下ビックデータ共有システム〔ROAD-S(ロードス)〕を開発』

これを読むと、「ビッグデータ」であったり「AI(人工知能)」というような、昨今の株式市場でもテーマになりやすい、いわばマジックワードが並んでいます。

それが理由でこれだけ株価が上がった、と言うのは早計で、今回のプレスリリースは同社の将来を大きく変える可能性があるものと思っています。

我が国日本は高度経済成長期に、多くの道路を敷設したのは皆様も基礎知識としてお持ちであると思います。

それが数十年の時を経て、老朽化が進行し、多くの道路に改修の必要性が出てきています。と同時に道路下に埋設した上下水道管にも劣化に伴う亀裂・破裂の危険性があり、早期に発見して交換をする必要もあります。

実際に昨年11月に起こった博多駅前の大陥没事故も記憶に新しいです。

しかしながら、どこが最も老朽化が進み、改修の必要があるかを検査するコスト・時間がこれまで最も大きなネックになっていました。

これを解消したのが、土木管理総合試験所です。

同社が東京大学と開発した、「ロード・スキャン・ビークル」です。

資料をご覧いただければわかりますが、これまでは道路そのものや、その下にある上下水管などの老朽化を検査するには、道路を掘り起こして実際に管を叩いてその音で診断するといったような「アナログ」の診断方法が一般的でありました。

この検査を行うには交通量の少ない夜間に通行止めにしたり、掘り起こすための重機、また熟練作業員が必要で、コストが膨大にかかっていました。また、診断の結果には1キロメートルあたり1か月がかかっていたわけです。

これに対し、同社の「ロード・スキャン・ビークル」を使えば、3Dレーダーを搭載した自動車を最大で時速80キロで走らせれば済むことになり、また1キロメートル当たり数秒でデータを集計することが可能となります。

すなわち、通行止めにする必要もない、高速道路でも検査可能、熟練の検査員も不要、昼夜問わず検査が可能ということですから、従来の検査方法に比べると圧倒的なコスト競争力があると言えます。

ロード・スキャン・ビークルを日本国内の道路上を走らせることでデータを収集し、もってこのデータをビッグデータで解析・AIで診断することで、経年劣化を予測していくことなども視野に入れています。

来春からこのデータを自治体向けに販売することを予定していますが、おそらくは圧倒的なコスト競争力からして、多くの自治体がこのデータを購入するものと考えられます。

またこの道路診断技術は世界でも初ということであり、今後は海外でもロード・スキャン・ビークルを走らせ、道路の劣化診断を行っていくものとしています。

「道路」というのはどちらかと言えばローテクの部類に入るわけで、多くの先進国(新興国も)でインフラ投資が済んでから数十年が経過しているため、その検査ニーズは膨大です。

日本の主要道路の総延長距離は121万キロメートル、米国は658万キロメートル、インドは468万キロメートルといったように、仮に各国で同社が劣化診断を行った場合を考えると同社の業績に与えるインパクトは計り知れないと言えるでしょう。

このロード・スキャン・ビークル以外で、足元の業績を中期的に押し上げる材料がまだあります。

それが既存事業の大きな伸びへの期待です。

2020年売上高は前年度比倍増への期待材料とは?

土木管理総合試験所は前2016年12月期の売上高45億円から、2020年12月期に100億円まで引き上げる目標を掲げています。

オフィシャルに中期経営計画を発表しているわけではありませんが、同社について掲載された信濃毎日新聞の記事中に見ることができます。

45億円の売上高をいかにして倍以上に引き上げるか、それは先述のビッグデータ販売が1つ材料となるのですが、それ以上に足元からの業績を押し上げるのは、山口の試験センターの稼働率上昇と仙台の試験センター増強にあります。

同社の本業は、土質・地質調査です。例えばある土地に建物を建てる場合に、ボーリング調査を行います。この調査で各地層から得られたサンプルを長野の試験センターで受け取り、何が土壌に成分として含まているかを検査してデータとして依頼主に提供するのが主な仕事です。

またコンクリート等の非破壊検査、水質などの検査も主力事業としています。

東京オリンピックに向けた再開発や、リニア新幹線着工に伴う土質・地質調査の旺盛な需要を取り込み、目下のところは長野の試験センターがフル稼働の状況です。

そのため、新たに山口県を拠点として、西日本の土質・地質調査を行う、山口試験センターを開設したのが2016年2月です。今期この規模を倍に拡大させ、長野と同程度の規模までキャパシティを引き上げます。

特に西日本は熊本地震の復興需要も多くあり、これを取り込むことで単純に従来の2倍の規模にまで売上高が伸びる期待が持てるということであります。

これに加えて仙台の試験センターも増強を図るということで、土地・建物を3億円で購入し、今年中に着工、来春から稼働を開始するとも発表しています。

土質・地質調査というのはゼネコンが独自に、社内で行うということも往々にしてあるのですが、豊洲の一件などもあったように、外部の第三者機関で調査を行うことで透明性を高めるという必要性もまた背景としてあります。

こうしたコンプライアンス上必要とされる面も強く、調査専門の企業として引き合いは今後も活発化していくものと考えられます。

いずれにしても、山口・仙台の試験センターの稼働率が上昇していくことで、極めてナチュラルに、40億円台前半の売上高からおよそ2倍に膨らませることは射程圏にあると言えるのではないでしょうか。

これに輪をかけて、今回の高い将来性が期待できる「ロード・スキャン・ビークル」の材料が加わることで、長期的に大きな成長が期待できるのではないかと考えています。

未だ時価総額は100億円程度と高い将来性は株価には織り込まれていないと言えます。

第2四半期業績はそれほど大きなダウンサイドリスクもない一方で、信用規制なども視野に入ってくることもあって、しばらくはもみ合いの展開も予想されますが、非常に将来性の高い企業として今後も積極的に解説を行って参ります。

株式市場で、このレポートと同内容の考え方を多くの投資家が共有できれば、2128円という上場来高値を再び更新し、大相場に発展していくのではないかと考える次第です。

2017年7月11日 午後2時46分 株価1637円