大化け期待!フェニックスバイオ【6190】に注目!

 

大化け期待で【6190】フェニックスバイオに長期(1年以上)で注目します。目標株価は特に設けませんが、高い成長力があると市場に評価されれば10000円突破も期待できるかもしれません。

2017年5月19日終値:1745円。

会社概要

フェニックスバイオは広島大学の技術を実用化したバイオ企業です。ヒトの肝臓に近い(80%)マウス「PXBマウス」を製造し、それを用いて大手製薬企業の前臨床試験の受託をし、これまで成長を遂げてきました。世界でも唯一の技術を保有しています。

製薬企業は新薬を開発する際に、まずはサルやマウスに新薬候補を投与してみて、その安全性を確認します。これが前臨床試験です。ヒトに投与しても副作用が強いなど、薬効以外で弊害が出てきてしまって患者さんが死んでしまっては元も子もないわけですから、前臨床試験で安全性が確認されなければ次の臨床試験(第1相試験)には進むことはできません。

これまで特に強みがあったのは、B型肝炎・C型肝炎の治療薬を開発向けでありました。PXBマウスにB型肝炎・C型肝炎を感染させて、新薬候補物質を投与し、その効果を検証するわけです。

しかしながら、C型肝炎の特効薬が開発され、現在市販されていることからC型肝炎向けの試験ニーズがなくなり、現在はB型肝炎向けの前臨床試験受託が主になり、売上高は減少傾向になっています。

それを補い、かつ、更に成長を目指す形で力を入れているのが薬物動態・安全性試験です。肝臓という臓器は様々な役割をしているのは皆様もご承知の通りでありますが、その中の1つで「代謝」があります。

代謝機能は血液中の栄養素をエネルギーに変える働きがありますが、それと共に有害な物質を無害化し、体外に排出させる機能もあります。

お酒を飲んだあと、血中へ入ったアルコールがアセドアルデヒドへ、更に酢酸、最後は水と二酸化炭素になって尿として排出されますが、この分解作業を行っているのが肝臓です。

この分解作業と同様に、新薬候補物質が肝臓で代謝されるかどうか=安全性が高いかどうかを確かめるために、ヒトの肝機能を持ったPXBマウスで確かめる、というニーズがこのところ高まっています。

ヒトに近いと言われるサルで実験を行うよりもよりヒトに近いデータがとれた、というデータもあり、将来的に大手の海外製薬企業が、新薬候補物質の前臨床試験を行う際にPXBマウスを利用することがスタンダードになる可能性もあります。

PXBマウスの現在の販売状況、今期の業績は?

現在、日本国内では3500匹のPXBマウスを自社で生産し、それを元に前臨床試験の受託を行っています。

大手製薬企業から新薬候補物質を受け取り、PXBマウスに投与し、そのデータを顧客企業へ送り返すことで収益を上げています。

この3500匹という国内生産量、それを元にした前臨床試験受託は概ね100%に近い稼働率で、更なる伸びしろを生み出すためにはは設備投資や人員増をしないとならない状況にあります。

ちなみに、前臨床試験受託のうち70%が海外の大手製薬企業からの受託で、決済はドルベースです。国内で全て業務を行っていることからして、為替感応度は非常に高いということが言えます。

フェニックスバイオの大きな伸びしろは国内ではなく、海外にあります。大手製薬企業は前臨床試験を他社に委託する一方で情報漏えいなどの対策から、前臨床試験を内製化するニーズもあります。

こうしたニーズに対応するため、PXBマウスを米国で生産して直接販売を行う方針をうちたて、米国での事業を開始しています。

まず、米国のチャールスリバー社と業務提携を締結、PXBマウスの生産技術を移管し、チャールスリバー社がPXBマウスを生産する態勢を整えました。

チャールスリバー社は前臨床試験受託・実験動物販売の世界的大手で、時価総額4000億円を越える企業です。

フェニックスバイオはPXBマウスを活かして前臨床試験を取り組むためのコンソーシアム(CMHLコンソーシアム)と子会社(フェニックスバイオUSA)を設立しました。

現段階では、チャールスリバー社が生産したPXBマウスをコンソーシアム経由で無償提供しているものが多く、どのように代謝が行われるかを試験的に利用しています。新薬候補物質に使っているというよりは、過去に上市を諦めた薬や、既に販売している薬を投与してみる、といったいわば「お試し」期間中のようです。そのため先行するコスト負担があった点が前期実績が振るわなかった面もあります。

この「お試し」期間を経て、今期から本格的に販売を行っていくとしており、いよいよ米国でのPXBマウスを販売していきます。

前期は1000匹であったのに対し、今期は2000匹の生産を見込んでいます。このうち「お試し」の部分と実際に販売する部分、どのような比率になるかは同社は明らかにしてはいませんが、会社側が発表した今期の業績見通しにPXBマウスの本格販売に至ることによる業績の大幅な浮上の可能性が秘められています。

今期の業績見通しは

売上高 14.8億円(前期比+20.5%)

営業利益 2.63億円 (前期比+85.4%)

です。

先述の通り、国内の前臨床試験受託はほぼ稼働率100%に近いです。つまりは前期や前々期の実績が国内の売上高・営業利益のベースになり、これ以上の伸びしろは少ないと考えて差し支えありません。

前期・前々期の実績から考えると、国内は

売上高 12億円強

営業利益 1.7億円~1.8億円

くらいと考えられます。大手製薬企業の研究開発スケジュールに振り回される面があるため、期ズレも起こしやすいのですが、ざっくりこれくらいのイメージを持っておいて良いでしょう。

今期業績見通しからベースとなる国内の売上・利益を差し引いた値が、海外のPXBマウスの販売による売上・利益と考えれば、

売上高 2.5億円程度

営業利益 8000万円程度

と試算することが可能です。

想定される利益率が非常に高いということが見てお分かりいただけるのではないかと思います。

現在は顧客となる米国の大手製薬企業がPXBマウスを利用するために、倫理上の問題点などの検討をしているようで、下期から本格的に販売を行う予定とのことです。

更なる販売増で大化けへ期待

PXBマウスの海外生産は前期1000匹の実績、今期は2000匹の予定とのことですが、その先は更なる販売増を見込んでいます。

大手製薬企業がひしめき、また臨床試験が最も盛んにおこなわれている米国で、PXBマウスの利用が前臨床試験のスタンダードになれば、2000匹という数字からケタが大きく変わっていく可能性もあるものと考えられます。

そうなれば現状の売上・利益水準が一変することにもなっていきます。

きっかけとしては更なる増産が視野に入ってくることで、よりフェニックスバイオとチャールスリバー社の提携関係が深化することなども挙げられます。

以上を視野に入れた上で、現状の株価1700円台、PER20倍そこそこというのは将来性を全く織り込んでいないものと考えます。

前期実績では為替が期初想定より円高に振れたことやB型肝炎の試験受託で期ズレも発生したこと、米国でのコスト負担が先行していることから業績が低迷し、株価もそれに伴って長らく下げましたが、PXBマウスの海外販売が本格化することが確認できれば大幅な株価上昇も期待できるものと考えています。

今期の想定為替レートはドル円で110円です。足元の為替動向(111円半ば)から見ても安心感はあります。

リスク要因としてはゲノム編集やiPS細胞を活用した臨床試験がより低コストで行うことができるようになることで、現状では同社はPXBマウスの生産や販売の一本足なので大きな影響を受ける可能性がありますが、この点はまた四半期ごとの業績や医療技術関連のニュースフローを見ながらまた解説を行って参ります。